2022-09-16
皆さんは、公用文について、一般的な日本語の書き方・ルールよりも詳細な慣行があること、今年になって、その慣行が変更されたことはご存じでしょうか。
令和4年1月7日、文化審議会は、公用文作成に当たって、それまでの「公用文作成の要領」に代わる新たな手引とするよう、「公用文作成の考え方」を文部科学大臣に建議しました。
この建議について、同月11日の閣議で文部科学大臣から報告されたことを受けて、同日付で「「公用文作成の考え方」の周知について」が内閣官房長官から各国務大臣に宛てて通知され、古い「公用文作成の要領」の周知を求めた通知である「公用文改善の趣旨徹底について」は廃止されました。
これによって、公用文作成に関する従来の慣行が変更されたことになります。
具体的な変更点の例を挙げると、読点を、それまで使用していた「,(コンマ)」から原則として「、(テン)」とするように変更したり、公用文の一部について、それまで認めていなかった「?(疑問符)」や「!(感嘆符)」の使用を認めたりしています
「公用文」とは、広い意味では、各府省庁において業務上作成される文書類の全てを指す用語です。したがって、公用文の慣行がどうであっても、弁護士の職務には直接関係はしません。
しかしながら、裁判所や検察庁などでは、「公用文の作成の考え方」に合わせた文書が作成されることになります。そのような文書になれた裁判官や検察官などを読み手とする文書を作成する場合に、弁護士としても相手の読み慣れた体裁の文書、すなわち「公用文の作成の考え方」に合わせた文書とすることで、より明確に趣旨が伝わることなどを目指す、ということは、十分考えられることだと思います。
また、一貫したルールに基づくことにより、文書全体に統一性を持たせるという意味においても、「公用文の作成の考え方」は大いに参考となります。
皆さんも、「及び」と「並びに」、「又は」と「若しくは」、「場合」と「とき」のいずれを用いるか、など、用語の使い方について疑問を持たれたら、「公用文作成の考え方」をご一読いただけますと、新たな発見があるかもしれません。文化庁のホームページ上で公開されています。